
第3章 参加体験型の環境教育プログラム
田島澄雄(千葉市立幸町第三小学校)
3−1学校における参加体験型の環境教育プログラムの役割
環境教育で目指す人間を育成するためにはさまざまな方法がありますが、次のような3点の理由から本書では参加体験型の環境教育プログラムを取り上げています。
◎体験の重要性:
文部省環境教育指導資料1)によれば、環境教育においては「関心と理解を深めるための自然体験と生活体験などの積み重ねが重要である」、さらに「知識の習得にとどまらず、技能の習得や態度の育成をも目指すものである」と述べられているように、直接体験の重要性が指摘されています。
◎人間について学ぶ学習:
参加体験型の環境教育プログラムはグループによる人間関係トレーニング2)を基本としています。自分の価値観を知ったり、他人の価値観に触れたり、あるいは協力して解決していったりするという体験を通して、より深い人間理解が得られると思われます。
◎行動を促す学習:
第2章で述べましたような理由から行動に結び付くと思われます。
それでは、ここで言う参加体験型の環境教育プログラムとはどのようなものでしょうか。順を追って説明します。3−1−1「参加」の意味3−4)「会合などに出席する」ことを「参加する」と言いますが、ここで使う「参加」とは、今ここで(会合で)起こっていることに参加者一人ひとりが自分の考えを述べたり、責任を持ったりするなどして、積極的にかかわることをいいます。ただ、その場にいるという意味の参加ではありません。
3−1−2「体験」の意味
一般的に体験と言いますと、身体を動かしてなにかすることをイメージしますが、ここではそれだけではなく、話し合いをしたり、自分自身で考えたりする思考活動も含まれます。
3−1−3体験学習5)
それではどのような学習かと言いますと、「体験」から学ぶ学習です。指導者に教えられて知識を得る事ではなくて、学習者自身が自分の体験から学ぶ、学習者主体の学習です。言い換えると、学習者に外から何かを与えることではなく、その逆で、学習者の内面にあるものを引き出し育ててあげることであり、学習者自身が自ら気づき、理論化し、自分で自分を高めていく学習です。
体験学習は次のような4つのステップから構成されています。

A 体験:具体的な体験をします。
B 指摘:「どのような体験をしたか」をふりかえってデータを集めます。具体的な体験の内容を話題とするのではなく、お互いがどのように話を進めたかと言う
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